命題[proposition]
命題の内容が正しいとき、
反対に、命題の内容が正しくないときには、
命題を複数の命題に分割していったときに、それ以上は分割できなくなる命題、つまり、最小単位の命題のことを原子命題[elementary proposition]とか単純命題、といいます.また、原子命題を組み合わせた命題を複合命題[compound proposition]といいます.
原子命題どうしを組み合わせる接続詞の役割を果たすのが論理結合子[logical connective]です.
接続詞 | 名称 | 英語名称 | 記号 |
かつ | 連言,論理積 | conjunction | $\land$ |
または | 選言,論理和 | disjunction | $\lor$ |
もし〜ならば | 含意 | implication | $\to$ |
でない | 否定 | negation | $\lnot$ |
上では4種類の論理結合子があります.しかし、日本語や英語といった自然言語には、命題と命題を結び付ける接続詞が論理結合子以外にもたくさんあります.そうした、いろいろな接続詞のうち、原子命題の真偽が決まれば、原子命題と原子命題を組み合わせた複合命題の真偽が一通りに決まるような性質を持っている結合子は真理関数的[truth-functional]と言います.上の4つの論理結合子は真理関数的な性質を持っています.
原子命題を命題の内容自体ではなく、その命題が真なのか偽なのかという点にのみ注目するのが命題論理[proposition logic]です.
命題において、自然言語の「文」に相当するのが論理式[formula]になります.命題の真偽を定めるということは、論理式の真偽を定めるということに他なりません.そして、論理式の真偽を定めるためには解釈の場となる領域と構造が必要になります.このように命題の解釈の場ともいうべきものをモデル[model]といいます.前提となるべき命題の集合 $\Gamma$ に対して、1個の命題 $\psi$ が成り立つとします.このとき、$\psi$ は $\Gamma$ の意味論的帰結といい、 \[\Gamma \models \psi \]と表現します.真理値割当 $M$ に対して、命題の集合 $\Gamma$ に属する全ての論理式が真であるとき、$M$ は $\Gamma$ を充足するといい、$\Gamma$ を充足する真理値割当が $\Gamma$ のモデルということになります.このことを、\[M \models \Gamma \]と表現します.
命題論理は一つ一つの原子命題の中で展開されている論理、つまり、命題の内部構造は取り扱いません.このため、計算機の論理回路の記述には向いていますが、数学の理論の記述には不十分なものです.この命題の内部構造を扱わない命題論理に対して、命題の内部構造を扱うのが述語論理[predicate logic]です.
述語論理はフレーゲ[Frege;1848-1925]によって、命題論理を拡張する形で基本概念が構築されました.この述語論理の登場によって、アリストテレス以来の伝統的論理学が一新されることになりました.
Mathematics is the language with which God has written the universe.