制御システムの歴史
- 1778年
- Wattによって,遠心調速機(ガバナ;flyball governor)によって自動回転数制御される蒸気機関が発明される.Wattは「産業革命の父」と呼ばれている.
- 1868年
- Maxwellがガバナの制御動作の力学的解析(微分方程式による定式化)により安定制御の条件を解明した「On Governor」論文をロンドン王立学会の雑誌に発表する.これが現代の制御理論の嚆矢であるとされている.
- 1874年
- Edward Routhが制御系における安定判別法を発表.
- 1895年
- Adolf HurwitzがRouthとは独立に安定判別法を発表.RouthとHurwitzの安定判別法は数学的に同一であり,ラウス・フルビッツの安定判別法と呼ばれることになる.また,この判別法は離散系におけるジュリーの安定判別法に相当する.
- 1911年
- Elmer Ambrose Sperry)が,PID制御器の構成を成した船の自動操舵機構を開発.
- 1922年
- Nicolas Minorskyyが船の自動操舵に関する制御理論を発表.これがPID制御(Proportional-Integral-Derivative Controller)の誕生となる.
- 1931年
- Foxboro社ががPI調節計器スタビローグを発表する.
- 1932年
- Harry Nyquistが『制御理論』を発表. "Regeneration theory", Bell System Technical Journal, vol. 11, pp. 126?147, 1932 なお,Nyquistによる情報の伝送に必要な帯域の決定に関する理論は後にClaude Elwood Shannonによって情報理論として展開されていくことになる.
- 1933年
- Taylor Instruments社がPI調節計ダブル・レスポンスを発表.
- 1934年
- Brown社がAir-O-Line空気式調節計を発表.
- 1936年
- Taylor Instruments社のCallenderらにより空気式PID調整器の原型が開発される.PID制御のPはProportional(比例)の意味であり,偏差に比例して出力が変化することを示し,IはIntegralの意味であり,偏差がある限り出力を時間とともに修正することを示し,DはDerivativeの意味であり,偏差の大きさに比例して出力を一時的に補正することを示す.これによって,工業計測の4大変数である圧力,レベル,流量,温度を制御する.
- 1942年
- Taylor Instruments社のJohn G. ZieglerとNathaniel B. Nicholsらにより,実用的なPIDパラメータの調整則(限界感度法,過渡応答法)を示した「PID調整法として限界感度法」をASME(米国機械学会)論文集に発表.
- 1948年
- Norbert Wienerが『サイバネテックス』を発表.Foxboro社が空気差動式圧力トランスミッタd/pセルを発表.
- 1949年
- Brown社がMinneapolisHoneywell Regulator社に買収される.
- 1956年
- Pontryaginが「最大原理」と呼ばれる最適制御理論を発表する.
- 1960年
- R.E.Kalmanが現代制御理論を確立.回路理論の延長上にある周波数応答法に代わって,システムの状態空間による表現法を提示.
- 1968年
- GMのオートマチックトランスミッション製造部門(Hydramatic)がリレーシステムを電子的に代替するための開発をBedford Associates社に発注.Bedford Associates社は,CPUによってデジタルロジックを実行し,デジタル入出力と通信を行うModular Digital Controller(MODICON)を提案した. これがPLC(Programmable Logic Controller)の最初となる.Bedford Associates社はPLC(MODICON 084)のためにModicon社を設立する.
- 1974年
- Eliahu Ibraham Juryが離散系における安定判別法を発表.Inners and stability of dynamic systems, John Wiley & Sons, 1974
Mathematics is the language with which God has written the universe.