定義:Negative Binomial Coefficient
この拡張により,二項係数を負の整数や実数を含む場合でも利用できるようになる.
負の二項係数はガンマ関数 $\Gamma$ を用いて定義することもできる.\[\binom{n}{k} = \frac{\Gamma(n+1)}{\Gamma(k+1) \Gamma(n-k+1)}\]また,負の整数 $n = -r$ を使用して負の二項係数を定義することもできる.\[\binom{-r}{k} = \frac{(-r)(-r-1)(-r-2) \cdots (-r-k+1)}{k!}\]この形式をさらに簡略化すると,次のようになる.\[\binom{-r}{k} = (-1)^k \binom{r+k-1}{k}\]ここで, $\binom{r+k-1}{k}$ は通常の二項係数である.
負の二項係数は,負の二項分布の確率質量関数[PMF]の定義に使用される.負の二項分布は,ベルヌーイ試行における成功回数が固定されたときの失敗回数をモデル化するものである.具体的には,次のように定義される.\[P(X = k) = \binom{k + r - 1}{r - 1} p^r (1 - p)^k\]ここで, $\binom{k + r - 1}{r - 1}$ は負の二項係数である.これにより,成功回数が固定されている状況下での確率を求めることが出来るようになる.
負の二項係数を用いることにより,ガンマ関数やベータ関数などの特殊関数の性質を利用する計算が容易となる.特に,次のような形でガンマ関数を用いることができる.\[\binom{n}{k} = \frac{\Gamma(n+1)}{\Gamma(k+1) \Gamma(n-k+1)}\]ガンマ関数は階乗の一般化であり,実数や複素数の領域でも定義される.これにより,整数に限らず幅広い数値に対する計算が可能となる.
Mathematics is the language with which God has written the universe.