ファイバー

定義:ファイバー[fiber]

ファイバー[fiber]は,写像 $f$ において,点 $y \in Y$ に対応する $X$ の元の集合を指す.\[f^{-1}(y) = \{x \in X \mid f(x) = y\}\]

これは逆像の特別な場合であり,$A = \{y\}$ としたときに一致する.\[f^{-1}(\{y\}) = f^{-1}(y)\]

なお,逆像は,集合 $A \subseteq Y$ の任意の部分集合に対して定義される概念であり,ファイバーはその中でも $A = \{y\} $ の場合に対応する.

具体例として,写像 $f: \mathbb{R} \to \mathbb{R} $ として,\[f(x) = x^2\]を考える.

このとき,点 $y = 1$ におけるファイバーは次のように計算される.\[f^{-1}(1) = \{x \in \mathbb{R} \mid x^2 = 1\} = \{-1, 1\}\]

一方,部分集合 $A = [1, 4]$ に対する逆像は次のように計算される.\[f^{-1}([1, 4]) = \{x \in \mathbb{R} \mid x^2 \in [1, 4]\} = [-2, -1] \cup [1, 2]\]

つまり,逆像は,写像 $f: X \to Y$ において,任意の部分集合 $ A \subseteq Y$ に対して定義される.一方で,ファイバーは,写像 $f$ における1点 $y \in Y$ に対応する逆像であり,特に $A = \{y\}$ の場合に一致する.\[f^{-1}(y) = f^{-1}(\{y\})\]

統計学における応用

次のような統計モデルを考える.\[f: \Theta \to \mathit{Y}\]

ここで,$\Theta$ はパラメータ空間,$\mathit{Y}$ は観測空間,$f(\theta)$ は $\theta$ によって生成される確率分布や統計量である.

この場合,ファイバーは次のように表される.\[f^{-1}\mathit{Y} = \{\theta \in \Theta \mid f(\theta) = \mathit{Y}\}\]

同じ観測データ $\mathit{Y}$ を生成するすべてのパラメータの集合[ファイバー]を考えることによって,モデル内でのパラメータの同値性を議論できる.例えば,冗長なパラメータを削減する際[モデルの次元削減]に,ファイバーを用いて同値クラスを定義することができる.

Mathematics is the language with which God has written the universe.





















測度 確率変数の分布と特性関数の関係 スチューデントのt検定の統計量 データ中心化と射影 母分散と標本分散 正規分布とガンマ分布