summary:
1980年代後半から1990年代にかけて,インターネットが急速に拡大.個人や企業がネットワークを通じて多くのリソースにアクセスするようになる.
その中で,大規模なネットワークにおいて,数万,数十万のユーザー情報[名前・メールアドレス・部署情報等]を管理する必要がクローズアップされてくる.また,様々なシステムやアプリケーション間で一貫性を持ってユーザー情報を共有・更新するために,中央集権的でアクセスしやすい一元的な管理システムも求めらるようになる.そして,異なるネットワークやシステム間で情報を共有し,アクセスするための共通の規格の必要が認識されるようになる.
1つの大規模なサーバーだけでなく,分散型の複数のサーバーが存在している状況の中で,1984年にCCITTが最初のディレクトリサービスの概念を検討開始.X.500は,こうした環境でも一貫して情報を管理できるよう,分散型のディレクトリシステムとして1988年に最初の正式な勧告が発表された.これにより,ネットワーク全体での効率的なデータ共有と一貫性のあるアクセスが可能となった.
X.500は,ディレクトリ情報をツリー構造で整理し,上層から下層にかけて企業や組織の構成を反映させる.このツリー構造により,情報の検索や更新が効率的に行えるようになっている.また,DAP[Directory Access Protocol]というプロトコルを定め,ディレクトリ情報へのアクセスを標準化した.
但し,X.500は,OSIモデル[Open Systems Interconnection]に基づいて設計されており,インターネットのTCP/IP環境との親和性が低い.また,DAPは通信処理が重く,サーバーへの負担が大きいという問題点があった.そのため,X.500は一般のインターネット環境での利用には向かず,X.500を簡素化したLDAPがその後の標準となっていった.
Mathematics is the language with which God has written the universe.