MPPDB

summary:

MPPDB[Massively Parallel Processing Database]とは,大量のデータを高速に処理するために並列分散アーキテクチャを採用したデータベース管理システム[DBMS]の一種である.

MPPアーキテクチャに基づき,複数のノード[サーバー]にデータを分散し,それぞれが独立したCPU・メモリ・ストレージリソースを持ち,共有なしアーキテクチャ[shared-nothing architecture]で稼働する.各ノードが割り当てられたデータセットに対して同時並列処理[Massively Parallel Processing, MPP]を行い,ノード間の高速な相互通信により結果を統合することで,データ量の増加に応じた線形的なスケーラビリティと高いクエリ処理性能を実現する.

MPPDBは,スケールアウト型の拡張性を備えており,ノードを追加することで処理能力を線形に向上させることができる.また,データを複数のノードに分散し,並列処理を行うことで高速なクエリ処理を実現している.このアーキテクチャは特にビッグデータやデータウェアハウス(DWH),高度な分析処理に最適であり,企業の意思決定支援システムの基盤として広く採用されている.さらに,MPPDBは高い可用性を特徴としており,一部のノードに障害が発生した場合でも,システム全体としての耐障害性を維持し,データのリカバリが可能な設計となっている.

MPPDBの歴史は1970年代にまで遡り,この時期にEdgar F. Coddによるリレーショナルデータベース[RDB]の概念が登場し,データベース技術の基盤が形成された.1980年代になると,従来のSMP[対称型マルチプロセッシング]に代わる手法としてMPP[Massively Parallel Processing]アーキテクチャの概念が発展し始めた.1979年には商用MPPDBの先駆けとなるTeradataが登場し,大規模データの並列処理を実現するDBMSとしてMPPDBの原型となった.

1990年代に入ると,企業におけるデータウェアハウス[DWH]の需要が高まり,MPPアーキテクチャを採用したデータベースが広く採用されるようになった.1999年には,ハードウェアとソフトウェアを統合したMPPDBアプライアンスであるNetezza[2010年にIBMがNetezzaを買収.IBM PureData System for Analyticsとなる]が登場し,専用アプライアンスとしてのMPPDBの地位を確立した.

2000年代に入ると,オープンソース技術の発展により,PostgreSQLをベースとしたGreenplumが2005年に登場し,商用製品以外の選択肢が広がった.さらに2008年にはHadoopやNoSQLの技術が登場し,MPPDBとビッグデータ技術の融合が進み始めた.2010年代以降はクラウドコンピューティングの普及に伴い,MPPDBの展開形態が大きく変化した.2012年にはAWSが提供するAmazon Redshiftがクラウド型MPPDBとして登場し,クラウドネイティブなDWHの先駆けとなった.2016年以降はGoogle BigQueryやSnowflakeなどのクラウドネイティブなDWHソリューションが台頭し,MPPDB市場のさらなる拡大が進んだ.

2020年代に入ると,Huawei GaussDB[DWS,Data Warehouse Service]やAzure Synapse Analyticsなどの新しいクラウド型MPPDBが登場し,多様な環境での大規模データ処理ニーズに対応する形で進化を続けている.さらに,オンプレミス,クラウド,ハイブリッド環境での運用が可能なMPPDBが主流となり,データ分析やAI/MLなどの高度な計算処理にも活用されるようになった.

Mathematics is the language with which God has written the universe.





















ops:byte比 conda SDN CRIU OFED libibverbs