プライマリ・バックアップ

summary:

プライマリ・バックアップ[Primary-Backup]とは,高可用性[High Availability, HA]を実現するための分散システムにおけるレプリケーション手法の一つである.

この方式では,クライアントからのリクエストを受け取り,データの更新を処理する主要なノードであるプライマリ[Primary]と,プライマリからの更新を受け取り,同期を維持しつつ,プライマリが故障した際に代替ノードとして機能するバックアップ[Backup]ノードという2種類のノードが存在する.

動作の流れとしては,まずクライアントはプライマリにリクエストを送信.次にプライマリが処理を実行し,結果をバックアップにレプリケートします.そしてプライマリが結果をクライアントに返す.プライマリが障害を起こすと,バックアップがプライマリとして昇格[フェイルオーバー]し,システムの可用性を維持する.

プライマリ・バックアップ方式は,耐障害性とデータの一貫性を確保するための基本的なレプリケーション手法であり,1980年代にかけて研究が進められた.1970年代には分散システムが発展し,レプリケーション技術の重要性が認識され始めたが,この時点ではシンプルなマスタースレーブ[Master-Slave]構成が一般的であった.

1980年代に入り,プライマリ・バックアップ方式が具体的に提案され,Tandem Computers[後のHP NonStop]がフォールトトレラントシステムを開発し,この方式を活用した.また,Tanenbaum と van Steen による Distributed Systems: Principles and Paradigms[1985年]は,分散システムに関する理論的枠組みを整備する上で重要な役割を果たした.

1990年代以降は,分散データベースやクラウドコンピューティングの発展とともに,プライマリ・バックアップ方式が多くのシステムで採用されるようになった.さらに,Paxos[1998年,Lamport]や Raft[2014年,Ongaro & Ousterhout]などの合意アルゴリズムと組み合わせることで,より高度なレプリケーション機構が確立された.

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