summary:
この構成では,マスターがデータの更新を一元的に管理し,スレーブはマスターからのコピーを保持するため,データの整合性を確保しやすい.一方で,マスターに障害が発生するとシステム全体が機能不全に陥る可能性があり,可用性の面では課題がある.
マスタースレーブ構成の概念は,コンピュータシステムにおいて比較的古くから存在していた.1960年代から1970年代にかけてのメインフレーム時代には,中央制御方式として採用され,特にIBMのメインフレームシステムでは,メインプロセッサ[マスター]が周辺装置[スレーブ]を管理する形態が一般的であった.その後,データベース管理システム[DBMS]やストレージシステムにおいても,マスターが書き込みを管理し,スレーブが読み取り専用のバックアップとして機能する形で,この方式が広く活用された.
1990年代以降,インターネットの発展とともに大規模分散システムの必要性が高まり,マスタースレーブ構成はデータレプリケーション技術の一つとして発展を遂げた.しかし,スケーラビリティや耐障害性の向上を求める動きが強まり,2000年代以降はPaxosやRaftといった合意アルゴリズムに基づく手法や,マルチマスター構成を採用するシステムが増えつつある.それでも,シンプルな構成で実装が容易であるという利点から,データベースやクラスタリング環境においてマスタースレーブ構成は広く利用されている.
Mathematics is the language with which God has written the universe.