summary:
特徴として,ユーザーがパイプラインの構築や保守,スケジューリングといった煩雑な作業を行う必要がなく,数クリックでデータ統合処理を開始できる点にある.
Fivetranは,2012年にアメリカ・カリフォルニア州で ジョージ・フレイザー[George Fraser] と テイラー・ブラウン[Taylor Brown] によって設立された.当初はデータ分析のためのBIツール開発を志向していたが,プロトタイプの開発中に「そもそもBIツールよりも,分析可能な形でデータを揃える作業自体が非常に大変である」ことに気づき,方向を大きく転換.以降,信頼性の高いデータ同期の自動化と,スキーマの継続的トラッキング機能を備えたデータパイプラインサービスとして発展した.
Fivetranの主な機能は,何百種類ものプリビルドされた「コネクタ」によって実現されている.これらのコネクタは,Salesforce,Google Analytics,Facebook Ads,MySQL,PostgreSQL,MongoDBなどの各種データソースから,Snowflake,BigQuery,Redshift,Databricksといった宛先[ターゲット]へとデータを転送するものである.コネクタはスキーマ駆動型であり,元のデータ構造の変更[例:列追加,データ型変更]にも自動で追従し,信頼性の高いスキーマの進化管理[schema evolution]が可能となっている.
さらに,FivetranはELTモデルを採用しており,抽出[Extract]と格納[Load]は同社のパイプラインが担い,その後の変換[Transform]はユーザーがSQLやdbt[data build tool]などのツールで実装する設計となっている.この構造により,変換処理を分析チームのニーズに応じて柔軟にカスタマイズ可能であり,かつFivetran自体は処理負荷のかかる変換ステップを排除し,堅牢なデータ移送に集中している.
FivetranはSaaSアーキテクチャに即した設計思想を貫いており,インフラを一切必要としないクラウドネイティブなデータ統合基盤として高い評価を受けてきた.とりわけ2020年代に入って以降,クラウドDWH市場の拡大とともに急成長を遂げ,2021年にはSeries Dで1億ドル以上を調達し,ユニコーン企業としての地位を確立している.また同年,オープンソースETLフレームワークであるHVRの買収を通じて,大規模なエンタープライズ向けのデータレプリケーション市場への進出も果たした.
Mathematics is the language with which God has written the universe.