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KEDAは,Kubernetesの水平ポッドオートスケーリング[HPA: Horizontal Pod Autoscaling]の拡張機能として機能し,CPUやメモリ使用率だけでなく,リソースの負荷やキューの長さ,メッセージ数などの外部イベントに基づいてポッドの数を自動的に調整する.
KEDAは2019年にMicrosoftとRed Hatによって共同開発され,現在はCloud Native Computing Foundation[CNCF]のインキュベーションプロジェクトとして管理されている.KEDAの主な特徴は,様々なイベントソースに対応したスケーラーを提供していることである.これには,Apache Kafka,RabbitMQ,Azure Service Bus,AWS SQS,Prometheus,Redis,PostgreSQL,MySQLなど多くのシステムが含まれる.KEDAは,Kubernetes上でスケーリングをイベント駆動で行いたいというニーズに応える形で,特にクラウドネイティブ環境での動的スケーリングを強化した.これにより,特にメッセージ駆動のシステムや,外部イベントに反応してスケーリングを行う必要のあるアプリケーション[例えば,マイクロサービスやサーバーレスアーキテクチャ]に適したソリューションとなった.
KEDAは,Kubernetesのオートスケーリング機能を拡張し,外部のイベントソースに基づいてポッドをスケーリングすることができる.KEDAは,KubernetesのHPA[Horizontal Pod Autoscaler]と密接に連携しており,KEDAが設定する外部イベント[例えば,メッセージキューの長さ,データベースのキューなど]をもとにポッド数を調整する.具体的には,スケーリング対象のイベントソース,スケーリングの基準,そして最適化されたスケーリングのためのスケーラーによって実現される.これにより,KEDAは,アプリケーションの需要に応じてリソースの効率的な管理と最適化を実現する.
KEDAは,Scaled Objectという独自のカスタムリソース定義[CRD]を使用して,どのデプロイメントをスケールするか,どのトリガーを使用するか,最小・最大レプリカ数などのスケーリングパラメータを定義する.また,Scaled Jobsというリソースも提供しており,ジョブベースのワークロードに対してもイベント駆動のスケーリングを実現できる.KEDAは,ゼロからのスケーリング[scale-to-zero]機能を提供し,アクティブなワークロードがない場合にポッド数をゼロにすることで,リソースを効率的に使用できる.この機能は従来のKubernetes HPAでは提供されていなかったため,大きな利点となる.
KEDAの導入により,開発者やシステム管理者は,アプリケーションのリアルタイムの需要に応じてリソースを最適化し,クラウドリソースのコスト効率を向上させることができる.モニタリングと統合されたイベント駆動型のオートスケーリングにより,アプリケーションの応答性が向上し,システム全体のパフォーマンスが最適化される.
Mathematics is the language with which God has written the universe.