ヤコビ行列
定義:Jacobian matrix
ベクトル値関数 $ \mathbf{Y} = \mathbf{g}(\mathbf{X})$ について, $\mathbf{X} = (X_1, \ldots, X_n)^T$ と $\mathbf{Y} = (Y_1, \ldots, Y_m)^T$ とすると,ヤコビ行列 $J$ は以下のように定義される $m \times n$行列である.\[J = \frac{\partial \mathbf{Y}}{\partial \mathbf{X}} = \begin{bmatrix}\frac{\partial Y_1}{\partial X_1} & \frac{\partial Y_1}{\partial X_2} & \cdots & \frac{\partial Y_1}{\partial X_n} \\\frac{\partial Y_2}{\partial X_1} & \frac{\partial Y_2}{\partial X_2} & \cdots & \frac{\partial Y_2}{\partial X_n} \\\vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\\frac{\partial Y_m}{\partial X_1} & \frac{\partial Y_m}{\partial X_2} & \cdots & \frac{\partial Y_m}{\partial X_n}\end{bmatrix}\]ここで, $\frac{\partial Y_i}{\partial X_j}$ は $Y_i$ の $X_j$ に関する偏微分を表す.
ヤコビ行列は,実関数に関する微分係数および導関数の自然な拡張となっている.
特別な場合として, $n = m = 1$ のとき,ヤコビ行列は $1 \times 1$ 行列となり,その唯一の成分は実数値の微分係数に一致する.\[J = \begin{bmatrix} \frac{dy}{dx} \end{bmatrix}\]
この場合,ヤコビ行列の概念は微分係数および導関数の概念と完全に一致する.
つまり, $\frac{dy}{dx}$ は従来の意味での微分係数[導関数]そのものである.したがって,ヤコビ行列は多変数関数の微分を一般化したものと考えることができる.
また,各要素が偏微分で表される行列として,多次元空間での関数の線形近似を表現している.
Mathematics is the language with which God has written the universe.