ピタゴラスの定理

辺の長さが,$a,b,c$ である直角三角形を考えます.

ピタゴラスの定理では,\[a^{2}=b^{2}+c^{2}\]となります.

ここで,この直角三角形の各辺の長さと等しい正方形を作って,直角三角形の辺の上に乗せます.

そして,下図のようになったところで,$BG$ に平行になるように,直角三角形の点 $C$ から正方形 $ABGE$ の辺 $GE$ に直線を引きます.

こうすることで,正方形 $ABGE$ が2つの長方形に分割されます.

次に,三角形 $ACE$ を考えます.この三角形 $ACE$ の点 $C$ を線分 $CF$ に沿って点 $F$ までスライドさせます.点 $C$ を点 $F$ までスライドさせると,三角形 $AEF$ が出来あがります.

この三角形 $AEF$ と元の三角形 $ACE$ は辺 $AE$ に対する高さが同じなので面積も同じになります.

ここで,三角形 $AEF$ は $EF$ を一辺とする長方形の半分の面積になっています.

続いて,下図のように三角形 $ABE$ を考えます.

同じようにして,この三角形 $ABD$ の点 $B$ を点 $C$ にまでスライドさせます.そうすると,三角形 $ACD$ が出来あがります.この三角形 $ACD$ は元の三角形 $ABD$ と辺 $AD$ に対する高さが同じになっているので面積も同じになります.

そして,三角形 $ACD$ は $AC$ を一辺とする正方形の面積の半分になっています.

ここで,三角形 $ACE$ と三角形 $ABD$ を比較してみます.

すると,\[AC=AD\,AE=AB\]であり,\[\angle DAB=90^\circ + \angle CAB\]であり,\[\angle CAE=90^\circ + \angle CAB\]なので,結局,\[\angle DAB = \angle CAE\]となり,$\angle DAB,\angle CAE$ をなす辺の長さも同じなので,三角形 $ACE$ と三角形 $ABD$ の面積は等しいということになります.

先ほどの結果から,三角形 $ABD$ の面積は $AC$ を一辺とする正方形の半分であり,三角形 $ACE$ は $AE$ と $EF$ を辺とする長方形の面積の半分なので,$AC$ を一辺とする正方形の面積は $AE$ と $EF$ を辺とする長方形の面積に等しいということになります.

次に上図の三角形 $CBG$ を考えます.

先ほどと同じく,点 $C$ を点 $F$ にまでスライドさせます.そうして出来あがった三角形 $BGF$ は元の三角形 $CBG$ と辺 $GB$ に対する高さが同じなので面積が同じということになります.

また,三角形 $BGF$ は $BG,FG$ を辺とする長方形の面積の半分になっています.

続いて,三角形 $ABH$ を考えます.

三角形 $ABH$ の点 $A$ を点 $C$ にまでスライドさせると,三角形 $BCH$ が出来あがります.この三角形 $BCH$ は $BC$ を一辺とする正方形の面積の半分になっています.

ここで,三角形 $CBG$ と三角形 $ABH$ を比較します.

\[CB=BH,BG=AB\]となっていて,\[\angle CBG=90^\circ + \angle ABC\]であり,\[\angle ABH=90^\circ + \angle ABC\]なので,結局,\[\angle CBG = \angle ABH\]となり,$\angle CBG,\angle ABH$ をなす辺の長さも同じなので,三角形 $CBG$ と三角形 $ABH$ の面積は等しいということになります.

先ほどの結果と合わせると,$BG,FG$ を辺とする長方形の面積と $BC$ を辺とする正方形の面積は同じということになります.

ここまでの全ての結果を合わせると,$AC$ を一辺とする正方形の面積と $BC$ を一辺とする正方形の面積は $AB$ を一辺とする正方形の面積と同じということになります.

つまり,上の図でいうと,\[a^{2}=b^{2}+c^{2}\]ということになります.


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