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正弦波交流電圧・電流の最大値 $E_{m},I_{m}$ と実行値 $E,I$ との関係は,\[\begin{eqnarray}E&=&\frac{E_{m}}{\sqrt{2}}\\I&=&\frac{I_{m}}{\sqrt{2}}\end{eqnarray}\]となる.そのため,実行値を用いて正弦波交流電圧・電流を書き換えると,\[\begin{eqnarray}e(t)&=&\sqrt{2}E\sin\omega t\\i(t)&=&\sqrt{2}I\sin\omega t\end{eqnarray}\]となる.
ここで,さらに正弦波交流電圧・電流の式を,\[\begin{eqnarray}\dot{E}'&=&\sqrt{2}Ee^{j\omega t}=\sqrt{2}E\cos\omega t+j\sqrt{2}E\sin\omega t\\\dot{I}'&=&\sqrt{2}Ie^{j\omega t}=\sqrt{2}I\cos\omega t+j\sqrt{2}I\sin\omega t\end{eqnarray}\]と複素数に変換する.
回路を構成する素子が抵抗だけであれば,電圧や電流の振幅は変化しても位相は変わらない.一方,コイルやコンデンサがあると,電圧や電流の振幅のみならず位相も変化する.ここで,電流に位相の変化 $\theta$ が生じたとすると,\[\dot{I}'=\sqrt{2}Ie^{j(\omega t-\theta)}=\sqrt{2}I\cos(\omega t-\theta)+j\sqrt{2}I\sin(\omega t-\theta)\]と表すことができる.
ここで,$\omega t$ は回転の速度を意味している.正弦波交流の場合は常に一定の角度を保って回転しているため,$\omega t$ は重視する必要がない.
つまり,交流を考える際には実行値と位相差に注目すればよい.
Mathematics is the language with which God has written the universe.