合同式

定義:合同式 congruence expression

$n$ を自然数,$a,b$ を整数とする.$a$ を $n$ で割った余りと,$b$ を $n$ で割った余りが等しいとすると,\[a \equiv b (mod\ n) \]と表現し,$a$ と $b$ は法 $n$ に関して合同であるという.

$a$ と $b$ とが法 $n$ に関して合同であることを表現する表記としては,\[\begin{eqnarray} a &\equiv& b\ mod\ n \\a &\equiv& b(n) \\a &\equiv_{n}& b \end{eqnarray}\]といったものがある.

上記の合同式の定義は以下のようにも表現できる.

定義:合同式 congruence expression

$n$ を自然数,$a,b$ を整数とする.$(a-b)$ が $m$ の倍数であるとき,\[a \equiv b (mod\ n) \]と書く.

$a$ を $n$ で割った商を $q$,余りを $r$ とすると,\[a=qn+r (0 \leq r \leq n-1) \]また,$b$ を $n$ で割った商を $s$,余りを $t$ とすると,\[b=sn+t (0 \leq t \leq n-1) \]となる.

さらに,$(a-b)$ が $m$ の倍数であることから,\[(qn+r)-(sn+t)=(q-s)n+(r-t) \]となるので,つまりは $(r-t)$ が $n$ の倍数である必要がある.ところが,$(r-t)$ は最大でも $(n-1)$ であることから,$(r-t)$ が $n$ の倍数であるためには,結局,\[r-t=0\]である必要がある.

よって,\[r=t\]となり,$a,b$ を $n$ で割った余りが等しくなる必要がある◽︎

なお,$mod$ というのは,法[modulus]を用いて という意味のラテン語 "modulo" に由来する."modulo"は測定・尺度を意味する名詞"modulus"の奪格."法"は"基準"の意味があり,法 $n$ に関して合同というのは,$n$を基準として,という意味を持つ.

合同式の定義としては次のものもある.

定義:合同式 congruence expression

$n$ を自然数,$a,b$ を整数とする.このとき,\[a-b \in n \mathbb{Z} \]つまり,$a-b$ が $n$ で割り切れる整数全体の成すイデアルとなるならば,\[a \equiv b (mod\ n) \]と書く.


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