すべての集合を元として含む集合は存在しないことが知られている.もし,すべての集合を元として含む集合が存在するとしたならば矛盾が導かれることをラッセルの背理[Russell's paradox]という.
このような矛盾を回避するために,エルンスト・ツェルメロ[Ernst Friedrich Ferdinand Zermelo,1871/7/27–1953/5/21],アドルフ・アブラハム・ハレヴィ・フレンケル[Adolf Abraham Halevi Fraenkel,1891/2/17-1965/10/15],トアルフ・スコーレム[Albert Thoralf Skolem,1887/5/23-1963/3/23]によって公理的集合論が構築された.ところが,その公理的集合論が矛盾を含まないことを証明できないということもゲーデル[Kurt Gödel,1906/4/28-1978/1/14]によって証明されている[ゲーデルの不完全性定理].
上記のような集合の持つ矛盾を克服するためにアレクサンドル・グロタンディーク[Alexander Grothendieck,1928/3/28-2014/11/13]によって考え出されたのが集合論を展開するために必要な条件を備えた大きな集合である宇宙[universe]である.この宇宙[universe]を用いて,集合とは呼べない大きなものの集まりがクラス[class]として定義される.
定義:宇宙 universe
定義:クラス class
なお,小集合[small set]はクラス[class]であるが,$\mathscr{U}$ 自身はクラス[class]ではあっても小集合[small set]ではない.
クラス[class]は類ともいわれ,集合の集まりのことを意味する.クラスではあるが集合ではないものは真のクラス[proper class]といい,集合でもあるようなクラスが小さいクラス[small class]という.
集合論において考えられる操作を抽象化し,小さなクラスだけではなく,真のクラスにおいても適用可能にした枠組みのことが宇宙になる.宇宙からクラスが生み出される.
Mathematics is the language with which God has written the universe.