ハーン-バナッハの拡張定理
定理:Hahn-Banach extension theorem
ベクトル空間 $X$ の部分空間 $Y$ 上で定義された
線形汎関数 $f: Y \to \mathbb{R}$ が与えられたとき,以下の条件を満たす
線形汎関数 $F: X \to \mathbb{R}$ が存在する.
- $F$ は $f$ の拡張である.すなわち,$F|_Y = f$.
- $\forall x \in X, \quad F(x) \leq p(x)$
ただし, $p: X \to \mathbb{R}$ は劣加法的で正同次な関数で,$\forall y \in Y, \quad f(y) \leq p(y)$ を満たすものとする.
定理の意味と重要性
- 汎関数の拡張:部分空間上で定義された線形汎関数を,元の空間全体に拡張できることを保証する.
- ノルムの保存:特に,$p$ がノルムの場合,拡張された汎関数のノルムは元の汎関数のノルムと等しくなる.
- 双対空間の豊富さ:この定理により,十分多くの連続線形汎関数が存在することが保証される.
証明のステップ
- ツォルンの補題を用いて,極大な拡張の存在を示す.
- この極大拡張が実際に全空間上で定義されていることを証明.
- 拡張された汎関数が元の汎関数と同じノルムを持つことを確認.
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