母関数
定義:generating function
母関数とは,与えられた数列 $\{a_{n}\}$ の項を係数とする形式的冪級数である.
すなわち,$\{a_n\}_{n=0}^{\infty}$ の母関数は,\[G(x) = \sum_{n=0}^{\infty} a_n x^n\]と定義される.ここで,$\{a_n\}_{n=0}^{\infty}$ は与えられた数列,$x$ は形式的な変数である.
母関数[generating function]という名称は,この関数が様々な数学的対象を生成[generate]するという性質に由来.母関数という概念は18世紀にオイラーによって導入された.そして,当時の数学者たちは,この関数が多くの数学的性質を産み出す能力を持つことに注目し,generateという概念を用いて名付けたとされる.
母関数の有用性
- 数列の簡潔な表現:無限の項を持つ数列を一つの関数で表現できること,これにより,複雑な数列の性質を調べるのが容易となる.
- 漸化式の解決:数列の漸化式を母関数に変換することによって,代数的に解くことができる場合がある.
- 数列の和の計算:母関数の微分や積分によって,元の数列の和を効率的に計算できることがある.
- 数列の一般項の導出:母関数の展開により,数列の一般項を導出できる場合がある.
- 組み合わせ論における応用:組み合わせ的な問題を解く場合に,母関数を用いることによって複雑な計算の簡略化が可能となる場合がある.
- 確率論との関連:モーメント母関数など,確率論で重要な概念の基礎となっている.
- 数列の性質の探求:母関数の解析的性質を調べることによって,元の数列の漸近的振る舞いなどの理解に資する.
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