直交補空間
定義:
直交補空間[orthogonal complement]とは,ベクトル空間の部分空間に対して定義される概念.ある部分空間の直交補空間は,その部分空間と直交する全てのベクトルからなる空間である.
すなわち,次の集合として定義される.
ベクトル空間 $ V $ の部分空間 $ W $ に対して,$ W $ の直交補空間 $ W^{\perp} $ は,
$W^{\perp} = \{ \mathbf{v} \in V \mid \mathbf{v} \cdot \mathbf{w} = 0 \, \text{for all} \, \mathbf{w} \in W \}$
直交補空間には次のような重要な性質がある:
- 直交性: $ W \cap W^{\perp} = \{ \mathbf{0} \} $.すなわち,$ W $ と $ W^{\perp} $ の共通部分はゼロベクトルのみ.
- 次元: $ \dim W + \dim W^{\perp} = \dim V $.ベクトル空間 $ V $ の次元は,部分空間 $ W $ の次元とその直交補空間 $ W^{\perp} $ の次元の和に等しい.
- 全空間の直交分解: $ V = W \oplus W^{\perp} $.すなわち,任意のベクトル $ \mathbf{v} \in V $ は一意的に $ \mathbf{v} = \mathbf{w} + \mathbf{w}^{\perp} $ と表すことができる.ここで,$ \mathbf{w} \in W $ かつ $ \mathbf{w}^{\perp} \in W^{\perp} $ である.
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