確率母関数
定義:Probability Generating Function, PGF
離散型確率変数 $X$ の確率母関数 $G_X(t)$ は以下のように定義される.\[G_X(t) = E[t^X] = \sum_{x=0}^{\infty} t^x P(X=x)\]ここで,
- $E[\cdot]$ は期待値を表す
- $t$ は実数変数(通常 $|t| \leq 1$)
- $P(X=x)$ は確率質量関数
である.
確率母関数は離散確率分布に対して定義される概念である.連続確率分布に対しては,モーメント母関数がより一般的に使用される.
確率母関数の主な性質
- $G_X(1) = 1$ (全確率の和が1であることを反映)
- $G_X(0) = P(X=0)$ (確率変数が0をとる確率)
- 確率母関数の $n$ 次導関数を $t=0$ で評価すると,$X$ の $n$ 次の階乗モーメント[factorial moment]が得られる.\[G_X^{(n)}(0) = E[X(X-1)\cdots(X-n+1)]\]特に,期待値と分散は以下のように計算できる.\[\begin{align*}E[X] &= G_X'(1) \\Var(X) &= G_X''(1) + G_X'(1) - [G_X'(1)]^2\end{align*}\]
- 独立な確率変数 $X$ と $Y$ の和 $Z = X + Y$ の確率母関数は,個々の確率母関数の積となる.\[G_Z(t) = G_X(t) \cdot G_Y(t)\]
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