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例えば,統計モデルが二項分布であるとした場合,二項分布の確率質量関数を直接使用してP値を計算するという方法もある.$n$ を試行回数, $k$ を成功回数, $p$ を帰無仮説における成功確率とすると,\[P(X \geq k) = \sum_{i=k}^n \binom{n}{i} p^i (1-p)^{n-i}\]
しかし,この場合,正確ではあるが, $n$ が大きい場合は計算が複雑になる.
別の近似法[計算方法]として,観測されたデータの尤度を基にP値を計算するというのもある.\[L(p|X=k) = \binom{n}{k} p^k (1-p)^{n-k}\]この方法の場合,まず,観測されたデータ(成功回数 $k$)に基づいて尤度関数を最大化する $\hat{p}$ を求める.これは通常,$\hat{p} = k/n$ となる.次に,帰無仮説のパラメータ $p_0$ と観測データに基づく尤度比を計算する.\[\lambda = \frac{L(p_0|X=k)}{L(\hat{p}|X=k)}\]
P値は,この尤度比以下となる確率として定義される.つまり,$\lambda(X)$ を任意のデータ $X$ に対する尤度比,$\lambda(k)$ を観測されたデータの尤度比として,\[p = P(\lambda(X) \leq \lambda(k))\]この方法は,特に複雑な統計モデルや複数のパラメータを持つ分布に対して一般化しやすいという利点がある.