真空管(a vacuum tube)とは,金属内の自由電子(free electron)を真空内に引きだして電荷を運ばせるようにしたものです.
電子を引きだす方法としては以下の方法があります.
真空管の用途としては以下があります.
1945年頃から1960年にかけてが真空管の時代でした.黎明機のコンピュータ「ENIAC」は真空管を1万7468個使っています.
真空管ではプレートからカソードに電流が流れますが,この調整をするために,間にグリッドを挟んだものを三極真空管(triode valve)といいます.二極真空管は1904年にイギリスの電気工学者フレミングによって発明され,三極真空管(triode valve)は1906年にアメリカの発明家リー・ド・フォレストグリッドによって発明されました.
三極真空管(triode valve)は増幅機能を持つ素子でして,後のトランジスタに相当するものです.トランジスタでは,プレートをコレクタに,グリッドをベースに,カソードをエミッタと読み替えます.
真空管は加熱しないと動作しないという欠点を持っていたため,やがてトランジスタにとって代わられます.
真空管では電子を真空に飛び出させて利用しましたが,同じ事を固体内で行うのがダイオードであり,トランジスタになります.
しかし,2014年にはNASAが,半導体素子では実現が困難な超高速無線通信や超高速CPUの実現のために,真空チャネルトランジスタという真空管技術を応用した開発しています.
この真空チャネルトランジスタは,真空管の原理を利用して,エミッタ・コレクタの間隔を150ナノメートルにした真空ギャップを作り,物理的な接触なしにゲート間に電子が流れるようにするもので,マイクロプロセッサーなどの集積回路に利用されているMOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)を代替するものとされています.